マニュアル実行 2021.12.01

支流の魚をカワウの食害から守りたい!ということで竹束投入!(笹伏せ)

栃木県を流れる那珂川の支流に武茂川という川があります。 私たちが学ぶ馬頭高校のすぐ近くを流れる、私たちのホームリバーです。
昔は冬になると淵には雑魚が群れていた様ですが、最近はその姿が見られなくなってしまっていました。
ということで、昨年、私たちは千葉県水産総合研究センター研究報告の「竹束を用いたカワウPhalacrocorax carbo hanedaeからの魚類保護手法」という研究を発見して、馬頭高校水産科実習場近くの武茂川の淵に竹束を沈めてみました。

↓↓↓その水中動画がこちら↓↓↓
カワウ被害防止で武茂川に沈めた竹束

マニュアル?―「竹束を用いたカワウPhalacrocorax carbo hanedaeからの魚類保護手法」

たまたまかもしれませんが、昨年は竹束の周りに大量の雑魚が集まって越冬してくれました。昨年確認できた魚種はウグイ、オイカワ、カワムツ、モツゴ、タモロコ、コイ、ニゴイ、フナ類です。

どれくらい魚が集まったのか特別採捕許可を取って電気ショッカー?投網?で調べてみる?なんてことも考えました。

しかし、辛い冬を越そうとたくさん集まってきている魚を見ていると、そんなことはできませんでした。なので、どれくらいと言われると答えられませんが、「とにかくたくさんいた。」としか言えません。

ということで、今年も馬頭高校水産科実習場のすぐ横の更生橋の下に竹束を沈めてきました。

近所の家の竹藪から許可を取り、竹を切り出して、葉の多い先端部の2m位を5~6本まとめて、根元の方と中央付近2箇所を縛ります。

竹を縛る!

昨年は右岸だけでしたが、今年は左岸にも増設することにして2箇所に沈めることにしました。

切り出してきた竹束

竹が細くて切りやすいので、ここまでで30分くらい。

これを橋の下まで運び、麻袋に川の石を入れて沈めて完了です。

右岸には3束、左岸には2束沈めてみました。

右岸、左岸とも、沈めたのは流れが弱い反転流(はんてんりゅう…流れが下流から上流むけて反対に流れるところ)になっている場所です。増水になっても竹束が流されにくいですし、冬でも魚が集まりやすい場所です。この淵は1番深いところで2mくらいです。右岸は最深部のすぐ横、左岸側は水深1m程度です。

右岸の竹束 左岸の竹束

ここまで約1時間…多分慣れたらもっと早くできるはず…。

ちなみに、川に竹束を沈めるだけの行為ですが、武茂川の河川管理者に問い合わせたところ、河川占用許可を取る必要がありました。実験のためということで、学校に許可を取り、学校長名義で占用許可を取得したので占用料はかかりませんでした。

竹束を沈める時には、必要な許可を取って実施する必要がありますし、河川占用許可の場合、占用料を求められることがあると思います…。やってみよう!と思ったら河川管理者に必ず相談してください。

竹束のイラスト

竹束の模式図(河川管理者に説明するために作った図です。もし、河川管理者に説明するために必要ならばこんな図で良ければご自由に使用ください。)

ちなみにこの竹束には欠点がありまして、竹束周辺に魚が集まりすぎるので、カワウ避けのはずがサギやカワウが寄ってきます。昨年はカワウの食害防止に竹束を沈めたはずが、心配だったので結局橋の上流と下流にカワウ避けのテグスを張ってさらに食害を防止することになりました。

ということで今日は時間が足らなかったので上流だけテグスを張りました。下流側は来週張りたいと思います。

マニュアルーカワウに立ち向かう2
28ページにテグスの張り方、31,32ページには竹の設置が載っています。

ちなみに、ここには冬でも魚影が濃いのでにカワセミも寄ってきます。

今日も作業後に橋の上から竹束を見ていたらカワセミがやって来ていました。
どうしてカワセミは寄ってくると少しうれしい気持ちになるのか…。どうしてカワセミが魚を咥えているとうれしい気持ちになるのか…。サギやカワウが魚を咥えているのを見るのとどうして真逆の感情になるのか…。不思議なものです。
竹束を沈めた場所が橋の下の淵なので、昼間は車が通るので比較的カワウも寄りにくでしょうし、作業のためのアクセスも良い、魚の観察もしやすい。結果的にここはとても素敵な立地条件だったのかもしれません。

お近くにそんな場所があれば、みんなで竹束を沈めて、観察会を開いたりすると楽しい取り組みになるかなと思っています。

ということで竹束まわりの水中動画が撮れたらまた報告したいと思います。

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