シーズン終盤、清流長良川に大鮎が舞う~白滝治郎名人と郡上鮎を釣って出荷してみた~
お盆の長雨など、なかなか夏らしい夏が過ごせなかった方も多いのではないでしょうか。
しかし、天然アユたちは、元気いっぱいに育ち、全国各地の川で、友釣りをする姿がみられました。
今日は、アユの聖地、岐阜県を流れる長良川で、郡上漁業協同組合の組合長であり、アユ釣り名人でもある白滝治郎さんとともに、アユの友釣りを体験してきました。動画では清流での友釣りメインになっていますが、その後が本番です。
郡上漁協は、一般財団法人 東京水産振興会「内水面漁協の活性化に関する研究」事業に今年度から参画しています。郡上漁協の今年の研究課題の1つに、アユの買い取り事業の効率化があります。
アユの買い取り?だれからどうやって?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。実は、郡上漁協は、一般の釣り人が友釣りで釣ったアユを、買い取っているのです。白滝さんによると、大正時代から、この買い取り事業が続いているというから驚きです。
アユを獲るのであれば、網やヤナなどで大量に捕獲する方法はあります。しかし、郡上漁協では、アユを生きた状態で買い取ることにこだわります。それは、一晩、水槽で活かしておくことで、フンなどが排泄され、高品質を維持できるからです。その品質の高さから「郡上鮎」として地域団体商標にも登録されていますし、高知県で毎年開催される美味しいアユの全国大会「利き鮎会」で、見事、グランプリを獲得しています。
翌朝、活け締めされたアユ。ここからはスピード勝負です。夏の高温期ですので、素早くサイズ選別し、箱詰め、豊洲市場などへ出荷する必要があります。しかし、多い日には数千匹のアユを選別しなくてはなりません。そこで、本事業で、自動選別機を導入し、鮮度のさらなる向上を図りました。
アユ釣りのハイシーズンである8月末に納品され、以降、大活躍しています。どのくらい大活躍かというと、活け締め、選別、箱詰めまでの一連の作業トータルでみても、3割程度も短縮されたということです。郡上漁協職員の太田浩一さんによると「もう選別機なしでは作業できない」くらい、効率化されたとのこと。労力軽減に加え、鮮度の大幅な向上も実現できたといいます。
アユ釣りはしないけど、天然アユの塩焼きが食べてみたい、という方は、多くいらっしゃると思います。しかも、コロナ禍で、自由に旅行することもままならないご時世です。スイカの香り漂う天然アユ。もしスーパーや鮮魚店でみかけたら「買い」です。
多くの方に味わっていただきたい夏の味覚です。
郡上漁協では、冷凍アユの販売もしています。もちろん友釣りで釣った天然アユです。真空状態にしてからの冷凍なので、いつでも新鮮な味を楽しめます。
これからの季節、アユは繁殖期です。現在、郡上漁協では子持ちアユを使った新たな加工品を開発中です。これについても、また、別の機会にご紹介したいと思っています。
文:坪井潤一、太田浩一