【取り残された魚を掬え!】工事現場からのおさかな引っ越し大作戦
冬になると、川のいたるところで始まる工事。
今回の引っ越し大作戦の現場は、那珂川水系の武茂川の支流、大内川です。武茂川の本流や支流は、ぼくたち馬頭高校水産科の実習場からすぐ近くで、まさにホームリバーです。
大内川にはヤマメの里という看板があり、そこで工事がおこなわれていました。川の中にたまった土砂を取り除く工事だそうです。
川の真ん中には、重機の行き来する道ができており、そのわきに、もともと淵だった場所が、水たまりのようになっていました。
そこには、たくさんの魚たちが、干上がるor鳥に食べられるのを待っている状態でした。
12月14日のお昼前に、現場に到着。オペレーターの方が昼休みを取るおよそ1時間が勝負です。今回は、電気ショッカーという、川に弱い電気を流し、魚を一瞬気絶させて捕獲する道具を用いました(栃木県より特別採捕許可を得て実施)。たった1時間で、ウグイ、カジカ、カマツカなど500匹以上の魚たちを本流に、引っ越しさせることができました。
1匹だけですが、ヤマメも獲れました。緑がかった斑点とオレンジ色のラインがとてもきれいでした。しかし、よく見てみると、体には傷があり、尾びれも擦り切れているようで、土砂に巻き込まれてしまったのかな、と思いました。
測定作業は時間が限られる中で、とても大変でした。水がとても冷たく、すぐに手がかじかんでしまい、みんなで交代しながら、魚の大きさを測ったり、数をかぞえたりしました。
今回は、工事現場の監督さんとも、話をすることができて、工事の必要性も少し理解できました。でも、魚のことを思うと、工事はしてほしくない、というのが本音です。もう少し魚に配慮した工事をしてくれないかと思いました。これからも、少しでも魚にとって、棲みやすいような川になるよう、みんなで活動していこうと思っています。
文:阿部謙心、加藤勇翔